2016年10月14日金曜日

モノクロの日々。

世界最長70年もの在位を勤め上げ、
人々から「父」と慕われ、
愛され、敬われてきた、
偉大なるタイの国王様、
プミポン国王様が、昨日崩御されました。



お身体の調子が思わしくないと報道されてから、
連日多くのタイの方が国王様のいる病院を訪れ、
健康を祈願し、
王様の健康を祈願する黄色とピンクのシャツを着て、
本当に本当に多くの方々が、
国王様の永きに渡る在位を、
心から願ってやみませんでした。



そんな彼らの気配を身近に感じていた、
在タイの外国人である私達も、
今回の事に、とてもとても、心を傷めています。



それはきっと、
大好きなタイの国の方々が悲しんでいる姿が、
私達外国人にとっても辛いから。




そして在タイの長い方になると、
今までのクーデターや、
赤シャツ黄シャツ騒動のときに、
王様が仲裁に入ってくれてホッとし、
戻りつつある平和に対して、


「王様、ありがとう。」


そう心の中で国王様に感謝した外国人も、
たくさんいたのではないでしょうか。





私個人としては、僭越ながら、
国王様とは誕生日が同じ12月5日ということもあり、
とても親しみを感じていました。



国王様にも、この国にも。



毎年盛大にお祝いされる、
国王様のお誕生日。



その日は「父の日」でもあり、
町中が王様カラーの黄色に染まり、
花火が打ち上げられ、
黄色いキャンドルを持った人々が整列し、
王様がテレビを通じて直接国民へお言葉を伝えて下さり、
タイ中が一体となってお誕生日をお祝いします。


それは、私にとっても、
来タイして以来の特別な、
お誕生日の過ごし方でした。




国王様崩御の報と共に、
タイの人も大好きなfacebookのタイムラインは、
一斉にモノクロになりました。




私も、いてもたってもいられず、
顔写真のない、
モノクロのプロフィール写真へ変更しました。




タイの方は、写真すら使わず、
多くの方が、ただの真っ黒の画像を貼り付けています。



それは、タイの人々の心情を表しているようです。




きっと1ヶ月はこれが続くのでしょう。

私は要安静なので、
外の様子はわかりませんが、
黒い服の人ばかりなのではないでしょうか。



公務員は1年間は喪に服す通達が出されていますが、
この1年を外国人は「長い」と感じるかもしれません。



でも王様が貢献してくださった70年という長い在位に対しては、
この1年など長くはない、
そうタイの人は感じているかも知れません。






悲しい事があったとき。

私達先進国の人間は、すぐさま、

「前を向ける方法」を考えるかも知れません。

乗り越えられたその先のことに、
目を向けるかも知れません。






だけど…


「喪に服す」。






これは、

「悲しみを悲しみとして、
   キチンと感じきる」

ということでしょう。






私は、タイの人のこの心の在り方が、
とてもとても好きです。





悲しみを感じ切らぬまま、
前を向く事はできません。


次に進む事は、できません。



湧き出てきた「感情」は、
感じることでしか、
消化できないのだから。



その意味でも、
国民が喪に服す1ヶ月と、
公務員が喪に服す1年。


今回タイの人々が感じている喪失感に対して、
決して長くないものだろうと思います。




私はそれを、




カォチャイ「理解する」
            ↓
カォ「入れる」➕ チャイ「心」



心に入れておきたいな、と思います。




きっとこれから1ヶ月は、
彼らはfacebookで面白い投稿を見つけても、
「いいね!」はできないと思います。



外の様子はよくわかりませんが、
きっと同じなんじゃないかな。




しばらくはモノクロの日々が続くことになりそうですが、
それがこの国の人々にとって、
一番前向きになっていける方法なのだと、
私たち在タイの外国人は、
理解しておきたいと思います。




そしてタイの人々と共に、
偉大な王様を偲び、
ご冥福をお祈りしたいと思います。